イベントのリギングと構造解析
概念:Braceworksの構造解析
リギング構造の設計は、イベント、エンタテインメント、ディスプレイ、展示業界に欠かせない要素です。一連のコマンドやツールで構成されるBraceworks®を利用すると、(トラスや照明バトン(パイプ)などの)リギングオブジェクトの挿入と連結、ホイストやその他の支持部の追加、および構造への荷重の追加を行うことができます。
Braceworksのライセンスを有するシステムは、有限要素解析(FEA)を使用してリギングシステムの構造的な力を正確に計算および解析し、システムの実行可能性を判断します。また、構造レポートやDSTVまたはSCIA形式で取り出す機能を使用して、他の構造エンジニアが計算結果を共有したり検証したりできます。
Braceworks固有の機能
日本語版では、Braceworks固有の機能をすべて使用することはできません。ご了承ください。
Vectorworks Spotlightには、リギング構造の描画や荷重の追加に使用する多くのBraceworks機能が組み込まれており、Spotlightユーザーはリギングツールを活用したりシステムチェックを実行したりできます(場合により、Spotlightユーザーは使用するコマンドを作業画面に追加する必要があります)。
ただし、計算やレポート作成にはBraceworksのライセンスが必要です。
Braceworksの構造解析計算は、Vectorworks図面内のリギングオブジェクト(トラス、トラス(直線)、トラス(曲線)、照明バトン(パイプ)、および照明バトン(ラダー))に関する計算を実行するFEAコアが行います。計算では各オブジェクトが個別に扱われます。FEAコアは、ヒンジトラスを接合部と見なし、その他のすべてのトラス、パイプ、およびラダー要素を梁と見なします。梁または接合部の正しい種類を決定するため、それぞれのオブジェクトには、適切な計算に必要な断面データが含まれています。
Braceworksのライセンスが必要なコマンド |
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すべてのオブジェクトを計算 荷重の組み合わせを計算 表示中のオブジェクトのみ計算 選択したオブジェクトのみ計算 |
Braceworksシステムの取り出し 計算結果のレポートを作成 荷重計算結果の概観 影響線のサイズ |
ワークフロー:Braceworksを使用する
Vectorworks Spotlightの他のツール、コマンド、および機能と組み合わせることで、照明デザイナーはBraceworksの各種ツールをデザインプロセスの一環として使用でき、リギングの専門家はBraceworksのツールセットやコマンドを使用して、完全なリギング設計の作成、分析、および報告を行うことができます。推奨されるワークフローは、デザイン、会場、イベントの種類によって異なるほか、ユーザーがVectorworks SpotlightとBraceworksのどちらのライセンスを所有しているかによっても異なります。
会場のファイルを作成する
リギングプロジェクトの開始時に、吊り点を設定する会場のファイル(または「ハウスファイル」)を作成します。このファイルを再利用して、同じ場所でその他のイベントのリギングを行うことができます。
レイヤの縮尺の設定、レイヤの作成、Spotlightの設定など、図面の基本設定を行います。
リギングの必要に合わせてレイヤを作成します。たとえば展示会のリギングを行うには、各ブースを別々のデザインレイヤに配置します。文書をレイヤ別に整理して、ブースごとに部品リストを作成できます。
壁、固定ステージ部品など、会場のスペースをモデル化します。
天井吊り点ツール、選択した位置に天井吊り点を挿入コマンド、および構造材ツールを使用して、使用可能な吊り点を定義します。既存の吊り点が適切でない場合は、マザーグリッドツールを使用して図面にトラスシステムを配置します。
許容応力の値を設定して、天井吊り点の荷重制限を定義します。
照明デザイナーのためのBraceworks
照明デザイナーは、現在のワークフローをあまり変更せずにBraceworksでファイルを設定できます。余分な形状を少なくするには、トラス、トラス(直線)、トラス(曲線)ツールや、照明バトン(パイプ)および照明バトン(ラダー)ツールを使用して、リギングオブジェクトを挿入します。照明器具やその他の荷重をこれらのオブジェクトに直接連結できます。吊り元に変換コマンドを使用すると、複数のリギングオブジェクトまたはその他の形状からカスタムの吊り元を作成できます。
リギングデザイナーのためのBraceworks
リギングに関わるすべての部門と共同で作業を行います。
オプション:トラスの置き換えコマンドを選択してトラスインベントリをクリックし、使用可能なトラスタイプおよび別の長さのトラスでトラスインベントリを設定します。
Braceworks設定を定義します。
図面内にリギング構造を作成します。トラスツールを使用してトラスを配置します。自動連結モードを有効にして、リギング要素からシステムが作成されるようにします。あるいは、トラス(直線)ツールやトラス(曲線)ツールを使用します。照明バトン(パイプ)ツールを使用して照明バトン(パイプ)を配置し、照明バトン(ラダー)ツールを使用して照明バトン(ラダー)を配置します。
Braceworksはヒンジトラスを接合部として扱い、その他のトラス、パイプ、およびラダーを梁として扱います。
必要に応じて、リギングオブジェクト間に連結部を追加します。吊り具を挿入コマンドを使用して、連結部用のホイストを自動配置します。より細かく制御するには、連結ツールを使用してホイストまたはトラス接合部を挿入します。
インベントリの制約またはその他の要件によって必要な場合は、トラスの置き換えコマンドを使用してトラスラインの一部を別の長さのトラスに置き換えるか、またはトラスタイプの置き換えコマンドを使用してトラスタイプを別のトラスタイプに置き換えます。
吊り元に変換コマンドを使用して、リギングオブジェクトを照明器具やその他の荷重オブジェクト用の、単一の吊り元にグループ化します。
照明器具、スピーカー、ビデオスクリーンなどの荷重を各部門に追加してもらいます。あるいはリギング荷重ツールを使用して点荷重または分布荷重を挿入します。自動連結機能で、荷重を正しい点にスナップできます。
計算(Braceworksが必要)に不要な要素はすべて、計算される要素とは別のレイヤに配置しておく必要があります。
ホイストツールおよびブライダルツールを使用して、リギング支持部を作成します。
(最初に選択中のオブジェクト、次にすべてのオブジェクトに対して)システムチェックコマンドを実行し、連結されていない荷重やホイスト、ずれているオブジェクト、支持がないオブジェクトなどの誤りがないかを確認します。
Braceworksが必要:誤りが見つかったら修正します。Braceworksは、レポートと図面内の両方でこうした修正に役立つ、色分けされた注釈を備えています。
Braceworksが必要:計算に含めないレイヤを非表示にしてから、最初に選択したオブジェクトのみ計算コマンドを使用してオブジェクトのサブセットで計算を実行し、次に表示中のオブジェクトのみ計算コマンドを使用して表示中のすべてのオブジェクトに対して計算を実行します。
Braceworksが必要:すべてのオブジェクトを計算コマンドを使用してすべてのリギングオブジェクトで計算を実行し、システムの実行可能性を判断します。
必要に応じてシステムを変更します。
リギングオブジェクトおよび荷重オブジェクトの概略図を作成します。
ホイストおよびブライダルのレイアウトに必要な文書を取り出します。これには、ホイストレポートを作成コマンド、ブライダルワークシートを作成コマンド、およびブライダル組立図を作成コマンドを使用します。
Braceworksが必要:計算のレポートを作成します。
Braceworksが必要:必要に応じてレポートを取り出し、構造エンジニア、同僚、顧客とデータ(PDF、DSTV、またはSCIAファイル)を共有します。